地域経済と地域ポイント制ごっこ(まね遊び)第1回

令和元年7月に開催した 第4回:トランジション・タウン 九十九里町 学習会 では、ローカルインベストメント(域内投資)について学びました。 地域経済にとって、「域内消費」、「域内調達」に加え、「域内投資」も大きな鍵を握っていることがわかります。

問題は、どのように域内投資を実現させるかということですが、ここでは「地域ポイント制ごっこ」を考えてみることにします。 その理由は、この時代に、この場所で、「地域ポイント制ごっこ」を始めた人がいたという事実を後の世代に残しておくことができれば、その中のお一人が新しい気付きを得る可能性が生まれるからです。

ここから先、この「地域ポイント制ごっこ」が、どのように地域経済と関係をもつのかについてお話ししていきたいと思いますが、その前に明確にしておかなければならないことが一つあります。 それは、「地域ポイント制ごっこ」は今の経済(資本主義経済)とは全く異なるものであり、今の経済に置き換わるものではない、ということです。 重要なポイントは、既に用意されている今の経済(システム)から抜け出して生活することは(多くの場合)できませんが、地域の、地域による、地域のための経済システムを構築するための道は、まだ残されているということです。

§1 はじめに
お金(法定通貨)と同じように、「地域ポイント」が備えるべき3つのポイントを押さえます。
1. 価値の交換に用いられる
2. 価値の基準を与える
3. 価値を保存する

この「地域ポイント制ごっこ」では、地域ポイントが備えるべきポイントの中で、「3. 価値を保存する」に最も重点をおきます。 つまり、例えば100ポイントで交換できるものは、(地域ポイント制ごっこが継続する限り)10年後、あるいは100年後であっても、100ポイントで交換できるということです。

この「地域ポイント制ごっこ」は、単なるお遊びに過ぎませんが、そこは大人の遊びシステムとして、ある程度現実社会の仕組みとリンクさせる必要があると考えています。 つまり、地域の人々が認める「共通の価値」を、「地域ポイント制ごっこ」の1ポイントに割り当てます。 そして、このことを実現するための一つの方法が、金本位制度です。 ここで誤解のないように補足すると、現実社会(資本主義経済社会)における金1gの価値と、「地域ポイント制ごっこ」における金1gの価値は同じではない、ということに注意して下さい。
尚、「2. 価値の基準を与える」については後述します。

§2 原資
ビットコインの原資はマイニングでした。 「地域ポイント制ごっこ」の原資は2本立てです。 主たる原資は「労働生産」によるもの、副たる原資は「寄附」によるものです。 ここで、「寄附」は原則法定通貨によるものとします。 「労働生産」は、文字通り働いて生産したモノを指しています。 お米1kg、大根1本、鶏卵10個、セーター1枚など、モノであることが必要です(いわゆる情報やサービスだけでは原資になりません)。

§3 参加費
「地域ポイント制ごっこ」の運営は、遊びへの参加費で賄われます。 参加費は、「地域ポイント制ごっこ」におけるポイントにはなりません。

§4. 「地域ポイント制ごっこ」と「地域基金ごっこ」
トランジションにおけるリ・ローカリゼーションプロジェクトを(ある規模で)実現するためには、法定通貨との接点がどうしても必要になります。 なぜならば、100%域内調達で実現できるリ・ローカリゼーションプロジェクトは(現在の資本主義経済社会では)殆どないと考えられるからです。 そこで、地域内の有望な起業家をバックアップするために「地域基金ごっこ」を用意していくことを同時に考えます。

この「地域基金ごっこ」と「地域ポイント制ごっこ」を組み合わせて、「地元経済を創りなおす」ための原動力にしようというのが、今回の「地域ポイント制ごっこ」の狙いです。

次回(地域経済と地域ポイント制ごっこ(まね遊び)第2回)は、「地域ポイント制ごっこ」の具体的な遊び方についてお話ししたいと思います。

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