2024.9 : 新しいコミュニティ

一口に新しいコミュニティとは言っても、「コミュニティ」という言葉はとても広く深い意味を持っています。 そこで、この場ではコミュニティという言葉を「社会関係や秩序とは異なる、共通または共有する基盤の上に成立する関係」という意味で用いることにします。

ここで、新しいコミュニティのお話しをする前に、2011年の東北地方太平洋沖地震が切っ掛けとなり出会うことになったトランジションについて、今一度お話ししておきたいと思います。 詳細は、https://transitionjapan.net/about-tt/about-transition-town/ をご覧頂くことにして、ここではその概要をご紹介します。

—-
■トランジションとは?

トランジション(Transition)とは「移行」を意味します。何から何への移行でしょうか?

それは、エネルギーを多量に消費する脆弱な社会から、適正な量のエネルギーを使いながら、地域の人々が協力しあう柔軟にして強靱な社会、持続可能な社会への移行です。

エネルギーを大量に使う社会は一見、便利で快適ですが、ひとたびエネルギーの供給が止まれば、人々は生きていくことすら困難になることが予想されます。 スーパーに並ぶ食料も満ちあふれる製品も、エネルギーが途絶えると、とたんに消えてしまい、なにひとつ機能しなくなる脆弱な社会なのです。

適正なものを適正な量だけ作り、大事に使い、食べ、使い終わったものは無駄なくリサイクルする。そうした社会に向かうために、地域の仲間といっしょになって

・ 地元の資源を使ってエネルギーを作り出すこと

・ 地域の人々が集まって菜園や田んぼを作ること

・ 勉強会や上映会を開いて、私たちの住む社会の問題意識を共有すること

・ 昔から伝わっていて、途切れてしまった技術を蘇らせること

・ お年寄りから昔の知恵を学ぶこと

・ いまとは違う暮らし方を見つけ出すこと

それがトランジション・タウンの活動です。
—-

過去5年間、私は九十九里町で同じような活動が起きるといいなと思いながら細々と普及活動を行ってきましたが、従来の私のやり方では、トランジションの考え方が町の皆さんの間に広がることはないと悟りました。
そのような中、昨年は心臓病を患い、現在は終活に力を注いでいる関係で、地域を対象としたトランジションの未来像を実現する道程を歩むことが難しくなりました。 私自身は「ひとりひとりのトランジション」を念頭に、これからもトランジションを進めていくつもりでいますが、地域活性化のために何かをしようという考えは薄れました。

九十九里町の人口は、間もなく14,000人を下回るものと思われますが、それでも14,000人もの人びとの生活があります。
一方、九十九里町まち・ひと・しごと創生推進計画によると、2020年の生産人口は8,249人、老年人口は6,096人となっています。
本来ならば、生産人口の僅か0.1%に当たる人たちだけでもトランジションに興味を持ち、新しいコミュニティを創生しようとする試みに挑戦して頂けたらと思いますが、そうは簡単には行かないと思いますから、せめて老年人口の0.1%に当たる人たちに、トランジションに対する理解を深めて頂ければと思います。 後者に該当する人たちは、現状でもいらっしゃると思いますし、なによりも現在の生産人口に当たる人たちは、この先老年人口に当たる人たちのバトンを引き継ぐ可能性を持っていると考えられます。

以上の点を踏まえながら、新しいコミュニティについて、皆さんと意見の交換ができたらいいなと考えています。

トランジション・タウン 九十九里町は、「地域の、地域による、地域のための経済を作り直す」ための運動です。

タイトルとURLをコピーしました